2021年8月、IPCCから地球温暖化に関する最新の報告書が発表されましたね。
ある意味、私たちの未来に関わる内容が記されていました。事態は深刻かつ緊急を要します。
報告書をすべて読むのは大変かもしれないので、知っておくべきことをまとめました。
大規模火災や洪水など、裕福な国でも異常気象が制御不能となっている今。
最近でいうと、2021年7月にはドイツやベルギーでの大洪水では220人が命を落としましたし、涼しい地域で有名なアメリカ北西部で約38度の熱波が起きて多くの人が亡くなりました。ギリシャやトルコ、アメリカ、カナダ、キプロス、アルジェリア・・・ここ2ヶ月だけでも地球にある多くの森林は火災で黒こげになり息ができなくなりました。さらには、北極圏が2021年6月〜7月のたった1ヶ月で、日本列島の約半分と同じくらいの海氷が溶けてなくなった。。。
IPCCという気候変動について世界で1番権威がある機関からの報告では、「これらの悲劇は、これからの未来で起こるほんの少しである」と述べました。
この読みものが、地球からのSOSを聞き、自分の未来を自分で守るために考えるきっかけになれば幸いです。
*こちらはただのまとめ記事ではなく、筆者の考えも盛り込んでおります。自分はこう思うなぁ!と筆者と話すような感覚で読み進めていただけたら嬉しく思います。
IPCCは「人が地球温暖化を加速させた」と断言。
異常気象や生態系の破壊などをもたらす地球温暖化。
地球温暖化は、気温上昇によって気候が変わり、海面上昇・大雨・洪水・熱波・干ばつ・山火事など多くの自然災害をつくり出す大きな原因と言われています。
その地球温暖化は「人が原因である」と、IPCCが2021年8月9日に出した報告書で初めて断言しました。
つまり、近年の洪水や熱波などは「人」が引き起こしていると言い換えられます。
少し暗い話をお伝えすることになるわけですが、未来を生きる自分の子どもやその子どもたち、たくさんの命のため、明るい未来のためにも知っておくべきことです。
では、報告された内容にうつる前に・・・「そもそもIPCCや報告書って何?」「彼らの証言は信じられるの?」かをお話しします。
IPCCとは?
IPCCとは、「Intergovernmental Panel on Climate Change)のことで、
日本語では「気候変動に関する政府間パネル」と言われていますが・・・少し分かりにくいです。
つまり、IPCCとは「地球温暖化について世界中から専門家が集まって知識をまとめている国連機関」のことです。集大成のような感じ。
IPCCの報告書とは?
IPCCはたくさんの報告書を出していますが、中でも総合的な報告書である「評価報告書」は、最も重要性の高いものの1つです。
評価報告書は1990年から数年に1度ずつ出しており、今回の「第6次評価報告書」で6回目になりました。
評価報告書は3つに分かれていて、今回出された1つ目は「温暖化の自然科学的な根拠」についての報告書です。
今回でいうと「異常気象がどのくらい温暖化によるものなのか」や、「気温上昇や海面上昇の未来予想」などを科学的なデータや知見をもとに示されました。
これから2021年11月に出される2つ目「温暖化の影響」、2022年に出される3つ目「温暖化の対策」について報告される予定です。
IPCCはいろんな報告書を出していて、他の報告書も読むとけっこう面白いですよ!
信頼できるの?
IPCCが示す内容について、「嘘じゃないか?」「簡単には信じられない」という人も多く、かくいう筆者も情報をやすやす鵜呑みにしたくない1人です。
ですが、IPCCの報告書は「世界中のどの機関よりも、たくさんの科学的データや専門的知見を集めてつくられたもの」と考えられています。少なくとも、1つの研究結果を参考にするよりは信頼度や精度が高いと言えるでしょう。
・60ヵ国以上、200人以上の専門家の知見を参考
・14,000本の論文データを参考
・3回の査読
・78,000の評価にすべて答える
・コメントや対応もすべて公開(IPCCのホームページ)
評価報告書では、わかりやすく伝えるために「要約」もつくられており、40ページほどなので読みやすいです。今は英語のみですが、環境省によると日本語翻訳版も近々つくられるそう。
この要約も、1つ1つの文章を世界195カ国の代表団と承認作業をした上で完成されます。
それだけ世界的に重要な指針であるのが分かりますね。
まとめると、
- IPCCとは「地球温暖化について世界中から専門家が集まって知識をまとめている国連機関」のこと。
- IPCCの報告書はたくさんあるが、今回は3つの報告書から成る評価報告書のうち、1つ目の「温暖化の自然科学的な根拠」についての報告書。
- IPCCの報告書は「世界中のどの機関よりも、たくさんの科学的データや専門的知見を集めてつくられたもの」と考えられるので、信頼度や精度が高い。
報告書から知っておくべき3つのこと
IPCCによる第6次評価報告書の1つ目・科学的根拠から、知っておくべきことをいくつか取り上げると、
①前例のない規模とスピードで、人が地球を温暖化させている。
②1.5度の気温上昇が早まっている。
③改善しても海水は上がり続け、地球温暖化による災害はさらに厳しくなる。
これらの事実を、以下に簡単にまとめました。
それと、「もう手遅れなのか?」という問いに科学者でもない筆者がハッキリと答えるのは難しいですが、報告書にある「数千年も続く」という言葉から考えると「すでに手遅れである」と解釈できる一方、あるシナリオから見れば「希望はなくはない」とも解釈できるのが分かると思います。「手遅れではあるけど、まだ手はある」と言えそうです。
・・・なんだか耳を塞ぎたくなるような話ばかりですが、「朗報」も紹介しています!
①:前例のない規模とスピードで、人が地球を温暖化させている。
★ 人が地球を温暖化させている。
今までIPCCの報告書では、人が地球温暖化全体に影響を与えていることについて、確実であると言い切ったことがありませんでした。
しかし今回、IPCCは初めて「明白だ」という表現を使いました。
It is unequivocal that human influence has warmed the atmosphere, ocean and land…
(人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない。大気、海洋、雪氷圏及び生物圏において、広範囲かつ急速な変化が現れている。)
第6次評価報告書|IPCC
確信度や可能性を表す用語は、第5次報告書と「同じ基準」で今回も使われています。
特に産業革命以降、人は便利なものを作ったり捨てたり、または自然を破壊したりを繰り返して、温室効果ガスなどをたくさん排出し増やしてきました。
そして、地球上にガスがたまって温暖化していった。
この事実の原因は「人でもあるし、もしかしたら自然や他の影響があるかもしれない」と言われてきたそうですが、今回初めて「人が原因」だと断定したのです。
「人為起源の気候変動は、世界中の全ての地域で、多くの気象及び気候の極端現象に既
に影響を及ぼしている。」とも示し、近年よく見る熱波・大雨・洪水・干ばつなどの異常気象は、すでに全世界の地域で影響が出ているということです。
★ 前例のない規模とスピード
また、報告書は「前例のない規模とスピードで温暖化が進んでいる」ことも示唆しました。
気候システム全般にわたる最近の変化の規模と、気候システムの側面の現在の状態は、何世紀も何千年もの間、前例のなかったものである。
第6次評価報告書|IPCC
1990年〜2020年の30年間で人が大気中に排出してきた温室効果ガスは、全歴史〜1990年までに排出された温室効果ガスとほぼ同じ量だそう。
この30年間で私たちは、歴史上信じられないほど早いペースで温室効果ガスを放出してきたことが分かります。
現在、地球上にある「CO2(二酸化炭素)」の量は、例えば100万年前よりも多いのは明確です。
報告書は、地球は1900年頃の産業革命前に比べて「約1.1度」温暖化したと示しています。つまり、「約100年で1度ほど上がった」ことに。
「1度なんてあまり変わらない」と思いますが、地球歴史上で見ると「とても早いスピードで威力があること」なんです。
例えば、地球は「5度」の温暖化のみで氷河期を終えたと考えられています。すぐに5度上がったわけではなく、約5,000年かけて5度上がったんです。1.5度上がるのに約1,000年かかったとも言われています。
それなのに、現在は、約50年で1.5度気温上昇の道をスムーズに進行中です。
言うまでもなく、私たち人類は、かつて経験したことがない規模とスピードで温暖化や異常気象に直面していて、自らの手でどんどん悪化させている状況にいます。
▼ おまけ。
そもそも温室効果ガスによる熱は、私たちが生きていくために必要なものだろうなぁと。
温室効果ガスは、車の排気ガスやゴミを燃やすなどして発生しますし、生き物の呼吸によってCO2などが排出され、熱をもつ性質があります。もし温室効果ガスがなければ、地球の気温はとても寒くなり生きていくのが困難。かといって、今の地球のように温室効果ガスが多すぎると地球の気温が上がって生活していくのが難しくなる。
「バランス」が大切。だから、まずは便利なものを使いすぎないなどの「やりすぎ」を1人1人が減らしていく必要があるのではと思う次第です。
②:1.5度の気温上昇が早まっている。
2018年の予想では、「2030〜2050年までに」世界の気温が1.5度上昇するとしていました。
しかし、予想モデルの改正や新しいデータを参考にしてつくられた今回の報告書によって「2021年〜2040年までに1.5度に達する」と示しました。
世界平均気温は、本報告書で考慮した全ての排出シナリオにおいて、少なくとも今世紀半ばまでは上昇を続ける。
第6次評価報告書|IPCC
向こう数十年の間に二酸化炭素及びその他の温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、21 世紀中に、地球温暖化は 1.5℃及び 2℃を超える。
つまり、予想が「10年も早まった」のが分かります。それほど急速かつ大規模で温暖化が進んでいると言えますね。(データなどに誤差があるのを考慮しても、10年は大きすぎませんか?)
IPCCは様々な予測から5つのシナリオを出しました。そして、たとえ2041年〜2060年に炭素排出ゼロができたとしても、最善の結果でも1.6度は上昇する予想になっています。
もし、このまま化石燃料の依存が続いた場合のシナリオでは、2041年〜2060年に「2.4度」上昇、さらに2081年〜2100年には「4.4度上昇」すると予想しました。(上で話した氷河期を終えるまで5,000年かかった5度上昇があっという間のようです!)
地球は300万年以上の間、2.5度を超える地球温暖化を経験していないと言われています。まさに歴史上初といっても過言でない温暖化状況です。
さらにIPCCは「1.5度を下回れる可能性は低い」と報告しています。すべてのシナリオにおいて、2035年頃までに1.5度を超え、少なくとも2038年には1.5度を超えると予測しました。
そもそも2015年のパリ協定では、「温暖化を2度未満に保つ」という目標で世界中の政府が合意しましたが、結局は今回の報告書で「1.5度で合意することになった」そう。
なぜ2度から1.5度に目標を変更したかというと、気温が少しでも上がるにつれて、危険な熱波・洪水・干ばつ・サイクロンなどの異常気象で、今以上に大きな変化が起こるからです。
1度上がっている現状でも、「数十年に一度の災害」というのが何回も起こっていますよね。もはや数十年に一度ではないような。
もし2度に上がったとしたら・・・人類の生活はさらに危険にさらされて、生き残れない人が大勢出てくるのは分かりきったことです。
一方で、希望を持てるシナリオもあります。
もし、今すぐに温室効果ガスの排出量を減らせ、2050年までに世界全体が排出量ゼロにするかつ、地球からCO2を大気圏外に排出し続けることができた場合・・・2035年頃に1.5度まで一旦気温は上がるもののその後「気温が下がる予想」です。
しかし、今日の世界各国の状態では、到底この希望に満ちたシナリオをたどれるのは難しいとされ、今のままいけば2度ならぬ3度・4度の温暖化に向けて進んでいくでしょう。
「厳しく排出削減に取り組んだとしても、気温上昇はまぬがれない。」
向き合いたくないかもしれないけれども、近い未来の私たちは、今よりもっと悲惨な災害に直面している可能性が高い。
この現実を知れたことに感謝したいし、今一度受け止めて今この瞬間からできることを1つ1つやっていきたい。
このように、報告書は「気温上昇の難しい現実」を見せてくれました。
③:地球温暖化による災害はさらに厳しくなる。
IPCCは、急速に進んでいる温暖化にともない「自然災害もさらに厳しくなる」と以下のように予想しました。
継続する地球温暖化は、世界全体の水循環を、その変動性、世界的なモンスーンに伴う降水量、降水及び乾燥現象の厳しさを含め、更に強めると予測される。
第6次評価報告書|IPCC
自然災害というと、熱波・大雨・洪水・干ばつ・山火事・生き物の絶滅、などいろいろありますが、世界中で起きている「すべての温暖化と気候変動による自然災害が、より厳しく強力なものになる」ということになります。
そして報告書では「気候変動の結果は、時間の経過とともに不可逆的になる。」というように「不可逆的」という言葉も見られました。意味は「元に戻せない性質」です。気候変動の話で言うと、例えば気候変動による海面上昇が二度と改善できなくなる。取り戻しのつかないことになる。なんとも恐ろしい言葉です!
▼ 以下は、気候変動の影響についての予測です。
・強い熱帯低気圧(台風や大雨)の発生率が上がる。
・極端に厳しい猛暑が約10倍に増える。
・干ばつはより深刻になる。
・海面水位が上がり続ける。
・北極や南極の氷が完全にすべて溶ける可能性がある。
・CO2を吸収するはずの森林が、排出のみになる恐れがある。 など
いくつかピックアップします。
★ 極端に厳しい猛暑が約10倍に増える。
産業革命前は50年に1度に極度の猛暑があったのが、その酷暑の発生が「1.5度の気温上昇で約9倍」に増え、「2度で約14倍」「4度で約40倍」に増えると予想しました。
例えば、人が引き起こした温暖化の結果として可能性が高いと考えられている多くの「猛暑」は、オーストラリアで近年よく起こる山火事の主な原因であることも分かっています。
また、2021年6月、アメリカ周辺でも50度にわたる極度の猛暑がありましたが、このような異常な猛暑は、人による気候変動がなければ「事実上不可」であるとの研究結果も出ています。*2
最近なんだか「数十年に一度」という言い回しを天気予報でよく見る気が。
「1.1度上昇」の現時点で、すでに極度の猛暑は世界中をむしばんでいることが分かります。
★ 海面水位が上がり続ける。
報告書では「氷床や海洋の崩壊による海面上昇の変化は、元に戻らない」と示しました。
過去及び将来の温室効果ガスの排出に起因する多くの変化、特に海洋、氷床及び世界海面水位における変化は、百年から千年の時間スケールで不可逆的である。
第6次評価報告書|IPCC
「私たち人類が引き起こした、またはこれから引き起こす温暖化による変化は、何世紀または何千年もの間、特に海や氷床などの海面で、止まることなく持続し続けるor変化し続けるだろう。」ということになります。
気温上昇の度合いごとのシナリオがありますが、
例えば、3度や5度の上昇の場合、「グリーンランド氷床や西南極氷床は、最終的にはほぼ完全になくなる」と示しました。(グリーンランドには約7メートル、西南極氷床は約3メートルの海面上昇させるほど氷があると言われています。
海面については、最善である1.5度気温上昇のシナリオでさえも、今世紀末(2100年頃)までに「28センチメートル〜55センチメートルの海面上昇」が予想されると報告しました。
「30センチなら問題ない」と思うかもしれませんが、想像以上に被害は深刻です。
たった1メートル上がっただけでベネチアは水没し、2メートルに上がれば他の島や都市に影響が出て数億人もの難民が増えると言われています。日本の多くの場所で被害も予想されます。*1
さらに、近年は北極などの氷が溶けてなくなる原因の1つである「巨大な波」が危険視されていますが、この巨大な波は以前にはなかったもので、過去1世紀にわたり非常に頻繁になりました。そして、少なくとも2006年以降は、人間の活動が約90パーセントこの巨大な波をつくり出したと報告しています。
もちろん、これらの自然に関する予測は100パーセントではないので、どのくらい上昇するかは不確実でしょう。
でも、少なくとも現時点で「すでに海面上昇を回避できない」のは確かです。そして「海面上昇はこれから何百年、何万年も続いていく」ということになります。
★ CO2を吸収するはずの森林が、排出のみになる恐れがある。
さらに恐ろしいことに、報告書は「CO2の吸収効果が低下する可能性」も示唆しました。
二酸化炭素(CO2)排出が増加するシナリオにおいては、海洋と陸域の炭素吸収源が大気中の CO2蓄積を減速させる効果は小さくなると予測される。
第6次評価報告書|IPCC
CO2などの炭素を吸収してくれている海や陸。なんと、世界中が排出するCO2の半分以上を吸収しているのですが、今見えないところで重大なリスクにさらされています。
報告書は、このまま炭素の排出量が増えると「CO2の吸収効果が低下する」とし、
IPCCの調査によるシナリオからは、最終的に炭素吸収源は逆に「発生源」となり、CO2を吸収するのではなく、人間と同じように「排出するだけになる」という結果が出ています。
もしこれが現実となれば、温暖化が暴走することも考えられます。
すでに世界最大の炭素吸収源であるアマゾンの熱帯雨林ではこの現象が発生しており、このまま続けば炭素吸収源はなくなる可能性があります。こうなれば、予測不能な温暖化の大打撃を受けるだけでなく、人が生きていけなくなるのは言うまでもありません。
*
さて、
暗い話ばかりでどこからどうすればいいのやら・・・ですが、これが現実。
今、前向きに受け止め行動しなければ、さらに悪くなる一方。
気候変動による危険を理解し、「今この瞬間から改善していく」ことが、私たち1人1人が何よりも最優先すべきことではないかなと思います。
そして、報告書は朗報も示しました。
朗報もある?!
報告書は、人がつくり出す「温暖化に関する科学の力や精度は、より大きくなっている」ことも示唆しました。
気候プロセス、古気候的証拠及び放射強制力の増加に対する気候システムの応答に関する知識の向上により、AR5 よりも狭い範囲で、3℃という平衡気候感度の最良推定値が導き出された。
第6次評価報告書|IPCC
過去のIPCCによる評価報告書では「気候感度」という「温暖化によって地球はどのくらい温度が上がりやすいか」の予測が曖昧でした。
今までは、膨大な研究を重ねても「1.5度〜4.5度の間である可能性が高い」と温度差が広く曖昧な数値を示していました。
しかし、今回の報告書では「2.5度〜4度の可能性が高い」「3度が最良推定値」だと述べ、温度の差が縮まりました。もちろん、今回もさらに多くのデータなどを参考にしていて、精度は高くなっていると考えられています。
もう政府や国の責任者たちは、温暖化政策をするにあたり「温度が上がらないかもしれない」という言い訳はできないことになります。
また、近年の化石燃料の焼却や森林伐採などで、産業革命前よりも1.1度気温が上昇したことは疑う余地がないと報告されましたが、IPCCは「0.1度未満は、火山や太陽の変化など自然の摂理によるもの」であることを見つけたそうです。つまり、「自然による温暖化はとても少ない」ということ。
他にも、「以前よりも多い観測データ」「より解像度の高いモデル」「より強いシュミレート能力」「最新の分析技術」などが全体的に発達し、人がつくり出す温暖化関係の科学力はかなり洗練されてきています。
このように、科学の力や精度が高まっていることは嬉しい朗報です。
政策者はもちろんですが、地球の住人である私たち1人1人が「もう言い訳できない」ことを証拠をもって教えてくれました。
私たちが住む地球は、あなた1人の力を必要としている。
IPCCが2021年8月に出した「第6次評価報告書」についてお話しました。
今回の報告書は以前よりも暗い事実が多くなりましたが、「明白なメッセージ」を残してくれました。
それは「気温上昇を1.5度でおさえること」です。
2030年までに温室効果ガスの排出を減らせないと、私たちがつくり出した温暖化はじわじわと私たちを痛めつけながら、取り返しのつかない未来を創出していきます。
この気温上昇をおさえるために。そして、私たちが自ら地球を破壊する前に。
大きな助けになるのは、まぎれもなく「石油・化石燃料の使用をやめていくこと」でしょう。
そして報告書は、従来と同じような人間生活を続けていくだけでは、もう温暖化を改善できないことを教えてくれました。
政策者だけが取り組んでも意味はなく、私たち1人1人が今の人間生活を変えない限りは、1.5度以下の希望ある未来はつくれないでしょう。
「今が未来」です。
みなさまは、これを知った時、今から何ができると思いますでしょうか?
身近なところで言えば、
・プラスチックや化学繊維でできた服など、石油でできたものを買わない、使い捨てしない。
・排気ガスの出る車などの乗り物や、エアコンなどの電子機器を極力使わない。
・ガスや電気などエネルギーの節約をする。
・植樹に参加、募金をする。
などでしょうか。*3
上の参考リンクなどで、石油が使われているものを調べてみるとおもしろいですよ*
もちろん、温暖化は石炭や化石燃料だけが原因ではないでしょう。
ですが、大きな根本原因でもあります。もう手遅れな虫歯は、原因を取り除かない限り菌が広がっていくのと同様に、根本原因を治さないと温暖化も広がっていくのは明々白々です。
それと、上で挙げたたくさんの恐ろしい事象は、近い未来にとても高い確率で起きうることで、言うなればすでに現在進行形で起こっています。
そう聞いた今もなんとなく・・・「自分のいる場所から遠い所で起きている」「自分に被害はない」「誰かがなんとかする」と実感があまりないかもしれません。
でも実感した時になって改善しようとしては、もう取り返しがつかないくらいに遅すぎる。本来はもう何年も前から改善すべきだった重大なことだったのです。
テレビで見るような災害や、それに伴って起こっている戦乱や貧困などが、「いつどこで自分や自分の大切な人の身に起こってもおかしくない」のが、これからの未来。もしかしたら数時間先か、明日かもしれません。
もし政府が変わらないなら、私たちから変わりましょう。
人のパワーは連鎖していき、あなた1人の力はとても大きいです。
小さいアクションでもいい。
ぜひこの機会に、今この瞬間から、一緒に生活をちょっと変えていきませんか?*
– 参考 –
*1:気候変動で起きる海面上昇について知っておきたい7つのこと|GREEN PEACE
*2:Pathways and Pitfalls in extreme event attribution|World Weather Attribution
*3:石油はどんなところで使われているの?|中部電力
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